対応プロファイルとは?Bluetoothヘッドホンやイヤホンで使われる通信規格について

ワイヤレスヘッドホンやワイヤレスイヤホンを選んでいる時、製品のスペックを確認していると「対応プロファイル」という表記がされていますが、この「対応プロファイル」とは何なのでしょうか?

この記事では、「対応プロファイル」とは何か、またワイヤレスヘッドホンやワイヤレスイヤホンを選ぶ時に知って置いた方がいい主要なプロファイルの種類とそれぞれの特徴について解説します。

これを読めば自分に必要な対応プロファイルについて理解することができるようになります。

対応プロファイルとは?

対応プロファイルとは、Bluetooth機器間で音声データを送受信するための通信規格のことを指します。主なプロファイルとしては下記のような種類があります。

  1. A2DP(Advanced Audio Distribution Profile): 高音質オーディオ用
  2. AVRCP(Audio Video Remote Control Profile): リモコン操作用
  3. HFP(Hands-Free Profile): ハンズフリー通話用
  4. HSP(Headset Profile): ヘッドセット通話用
  5. GAP(Generic Access Profile): デバイス接続用
  6. GATT(Generic Attribute Profile): 属性の検出・操作用
  7. SPP(Serial Port Profile): シリアルポート通信用
  8. MAP(Message Access Profile): メッセージアクセス用
  9. OPP(Object Push Profile): ファイル送受信用
  10. PAN(Personal Area Networking Profile): ネットワーク接続用
  11. HID(Human Interface Device Profile): マウス/キーボード接続用
  12. HOGP(HID over GATT Profile): BLEのHID用
  13. FTP(File Transfer Profile): ファイル転送用
  14. DUN(Dial-Up Networking Profile): モデム接続用
  15. HDP(Health Device Profile): 医療機器用
  16. SPP(Serial Port Profile): シリアル通信用

複数のプロファイルに対応しているほど、その機器としての用途が広がるといえます。ただ、これだけたくさんあっても全てを把握しておくことは難しいので、この記事では特にワイヤレスヘッドホンやワイヤレスイヤホンを選ぶ時にポイントになる4つのプロファイルに絞って説明していきます。

主要な4つのプロファイル

  1. A2DP(Advanced Audio Distribution Profile) : 高音質の音楽データを送信するためのプロファイル
  2. AVRCP(Audio Video Remote Control Profile) : 再生/一時停止などのリモートコントロールを可能にするプロファイル
  3. HSP(Headset Profile) : ヘッドセットとしての通話を可能にするプロファイル
  4. HFP(Hands-Free Profile) : ハンズフリー通話を可能にするプロファイル

このうち、音楽再生をメインに使うならA2DPは必須で、音楽鑑賞と通話の両方をしたい場合は、A2DPとHFPの両方に対応したイヤホンを選ぶ必要があります。

そもそもプロファイルとは?

本来、プロファイルとは輪郭、横顔、分析結果、略歴などの意味を持つ英単語です。一般の外来語としては「プロフィール」(またはプロフィル)と表記するのが一般的で、人物紹介などの意味で用いられます。

ですが、ここで言うプロファイルとは、ある技術についての仕様や(標準)規格などで、適用場面の限られたオプション仕様や、用途や対象などに応じて選択された複数の要素や項目の組み合わせのことを指します。

参考:IT用語辞典

 

それでは、ワイヤレスヘッドホンやワイヤレスイヤホンを選ぶ時に確認しておきたい4つのプロファイルについて、それぞれ解説します。

A2DPとは?

A2DPとは「Advanced Audio Distribution Profile」の略語で、Bluetooth機器間で音楽や高品質な音声を送受信するための通信規格のことをいいます。

イヤホンとスマホがBluetoothでつながるとき、二つの機器はお互いにデータを送ったり受け取ったりする必要があります。そのときに、どのようなデータをどうやって送受信するかを決めるのがA2DPなどのプロファイルなのです。

A2DPがあるおかげで、CD並みの高音質で音楽をBluetooth経由で楽しむことができるのです。たとえばスマホに入っている音楽ファイルをワイヤレスイヤホンで聴くとき、A2DPが音楽の信号をBluetoothでイヤホンに送信してくれます。

プロファイルが対応していないと、音楽の音質が低くなったり、音が途切れたりしてしまいます。なので音楽をBluetoothで楽しみたい場合は、イヤホンとスマホがともに「A2DP」に対応しているかを確認する必要があるのです。

イヤホンを買うときは、対応プロファイルの中に「A2DP」の文字があるかをチェックすることをおすすめします。そうすれば高音質で音楽を楽しむことができます。

AVRCPとは?

AVRCPは「Audio Video Remote Control Profile」の略称で、 Bluetoothを使ってリモコン操作ができるようにするための通信規格です。

イヤホンとスマホがBluetoothでつながっているとき、イヤホンのボタンを押すことで、スマホの音楽アプリを操作できるようになります。たとえばイヤホンの▶️ボタンを押せば、スマホの音楽が再生されるわけです。

これが可能なのは、イヤホンとスマホ間でAVRCPというプロファイルで通信が行われているからです。イヤホンからのボタン操作はAVRCPを使ってスマホに伝えられ、スマホ側がその操作に応じて音楽アプリを制御するのです。

対応していないイヤホンだと、ボタンを押してもスマホの音楽アプリが操作できません。なので音楽をBluetoothで楽しみたい場合、イヤホンはAVRCPに対応している必要があります。

イヤホンを買う時は、対応プロファイル欄に「AVRCP」と表記されているか確認することをおすすめします。そうすればイヤホンのボタンでスマホの音楽操作ができるはずです。

HSPとは?

HSPは「Headset Profile」の略称で、Bluetoothを使ったヘッドセット機能のための通信規格です。

イヤホンとスマホをBluetoothで接続すると、イヤホンを通して通話ができるようになります。このときイヤホンとスマホの間で通話のための音声データを送受信しているのですが、その通信規格がHSPなのです。

HSPをサポートしているイヤホンなら、スマホに電話がかかってきたときにイヤホンで通話を受け答えることができます。イヤホンのマイクとスピーカーを通して通話ができるのは、HSPというプロファイルがその通信を確立してくれているおかげなのです。

通話をBluetoothでしたい場合は、イヤホンとスマホはともにHSPに対応している必要があります。イヤホンを買う時はHSP対応かどうかをちゃんと確認することをおすすめします。対応していれば、ハンズフリーで通話を楽しむことができます。

HFPとは

HFPは「Hands-Free Profile」の略称で、ハンズフリー通話を可能にするためのBluetooth通信規格です。

イヤホンとスマホをBluetoothでつなぐと、イヤホン1つで通話ができるようになります。電話がかかってきたらイヤホンで出られるし、イヤホンから発信することもできるのです。

これはHFPというプロファイルが、イヤホンとスマホの間で通話に必要な音声や操作の送受信を行ってくれているからこそ可能となっています。

HFPがあるからこそ、イヤホン1つで電話の発信・着信・通話ができるわけです。イヤホンのマイクとスピーカーを通話用に使えるようにしてくれるのがHFPなのです。

ハンズフリー通話をしたい場合は、イヤホンはもちろんスマホ側もHFPに対応している必要があります。イヤホン選びの参考にするといいでしょう。

対応プロファイルについてのまとめ

この記事では、ワイヤレスヘッドホンやワイヤレスイヤホンを選ぶ時に知っておきたい4つの対応プロファイル、A2DP・AVRCP・HSP・HFPについて詳しく解説しました。音楽鑑賞と通話の両方をしたい場合は、A2DPとHFPの両方に対応したイヤホンを選ぶ必要があります。

Bluetooth機器の対応プロファイルには様々な種類があり、複数のプロファイルに対応しているほど、その機器としての用途が広がるといえます。使わない機能に対応していても意味がありませんので、用途に応じて必要なプロファイルに対応しているか確認をするようにしてください。

また、ワイヤレスヘッドホンやイヤホンをより高音質で音楽を楽しみたい場合はaptXやAACなどの高音質コーデックの対応も重要なポイントです。コーデックについては下記の記事をご覧ください。

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