MEMS(メムス)ドライバーって何?その特徴とデメリット、音質への影響について

比較的、高級なイヤホンに搭載される事が多くなってきたMEMS(メムス)ドライバー。従来のダイナミックドライバーとは大きく異なる構造を持つ新しいタイプのスピーカードライバーです。

この記事では、MEMS(メムス)ドライバーの特徴とデメリット、期待できる音質への効果をまとめました。

MEMS(メムス)ドライバー4つの特徴

1. 小型・軽量化

メムスドライバーは、従来のダイナミックドライバーに比べて非常に小型化されています。これは、メムスドライバーの振動部分が極めて小さいためです。

通常のダイナミックドライバーは、大きな振動板を持つ必要がありますが、メムスドライバーは微小な振動膜を使うことで小型化が実現できます。この小型化により、イヤホンやヘッドホンの設計の自由度が高まり、より小型・軽量な製品の開発が可能になります。

2. 高音質

メムスドライバーは、高域の再生性能に優れています。これは、振動膜の小型化と高剛性化により、高周波数の振動を正確に再現できるためです。

従来のダイナミックドライバーでは、高域の再生が難しかったのに対し、メムスドライバーは非常にクリアで繊細な高音域の再生が可能です。これにより、より高音質なサウンド体験を提供できます。

3. 高速応答

メムスドライバーは、ダイナミックドライバーに比べて高速な応答性を持っています。これは、振動膜の小型化と軽量化により、瞬間的な音圧変化にも素早く追従できるためです。

高速応答性により、音楽の細かな表情や臨場感を忠実に再現できるようになります。

4. 低消費電力

メムスドライバーは、小型化と高効率化により、低消費電力で動作できます。従来のダイナミックドライバーに比べて、メムスドライバーは電力消費が少ないため、バッテリー駆動のイヤホンやヘッドホンでも長時間の使用が可能になります。これにより、ユーザーの利便性が向上します。

MEMS(メムス)ドライバーの音質的効果

メムスドライバーの音質については、以下のような特徴があります。

Via:PHILE WEB(https://www.phileweb.com/review/article/202305/12/5164.html)

1. 繊細でクリアな高音質

メムスドライバーは、高域の再生性能に優れています。振動膜が小型化・高剛性化されているため、高周波数の音を正確に再現できます。

従来のダイナミックドライバーでは高域の再生が難しかったのに対し、メムスドライバーはクリアで繊細な高音域を実現できます。

2. 広帯域特性をカバーできる

メムスドライバーは、低域から高域まで広い周波数帯域を再生できます。

ダイナミックドライバーに比べて、より広い周波数帯域をカバーできるため、音楽の細かな表情や臨場感を忠実に再現できます。

3. 高解像度

メムスドライバーは、細かな音の情報を正確に再生できます。これは、振動膜の高速応答性と高剛性によるものです。

細かな音の表情や微妙なニュアンスを捉えることができ、リアルな音質を実現します。

4. 歪みにくい

メムスドライバーは、低歪みで音を再生できます。従来のダイナミックドライバーでは、大きな振動板の動きに起因する歪みが生じやすかったのに対し、メムスドライバーは微小な振動膜を使うため、歪みが少なくクリアな音質が得られます。

デメリット

メムスドライバーにも以下のようなデメリットがあります。

1. 製造コストが高い

メムスドライバーは構造が複雑で、精密な加工が必要なため、製造コストが高くなります。ダイナミックドライバーに比べると2〜3倍ほど高価になる傾向にあります。

2. 大出力が難しい

メムスドライバーは小型の振動膜を使うため、大出力を得るのが難しい構造になっています。大音量を必要とするアプリケーションには向いていません。

3. 低域再生性能が弱い

メムスドライバーは高域再生に優れますが、低域の再生性能は相対的に弱くなります。重低音の表現力は、ダイナミックドライバーに劣ります。そのため、メムスドライバーを搭載しているイヤホンの多くは、ダイナミックドライバーとのハイブリッド式を採用し、高音と低音の両立を目指しています。

4. 耐久性に課題がある

メムスドライバーの振動膜は非常に薄く、耐久性に課題があると言われていて、長期使用による劣化が懸念されています。

5. 駆動回路が複雑

メムスドライバーを駆動するには、ダイナミックドライバーよりも複雑な駆動回路が必要になります。

まとめ

以上のように、メムスドライバーは小型化、高音質、高速応答性、低消費電力といった優れた特徴を持っており、モバイルオーディオ機器の高性能化に大きく貢献しています。また、メムスドライバーは高音質、広帯域特性、高解像度、低歪みといった優れた音質特性を持っています。

一方で、メムスドライバーにもデメリットはあり、コストや低音域の再生能力、耐久性、カイロの複雑さなどが挙げられます。こうした特徴やデメリットを踏まえて、メムスドライバーを搭載しているイヤホンは、高価になる傾向はありますが、高品質なオーディオ体験が期待できます。

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