iPhoneに最適のコーデックは何?ワイヤレスイヤホンで使われているコーデックの種類とその特徴

ワイヤレスイヤホンを買おうを考えたとき、イヤホンごとに「コーデックの種類」というものが記載されています。そこで、今回はその「コーデック」と呼ばれる音声を圧縮して伝送するための技術について説明していきます。

ワイヤレスイヤホンのコーデックと、その種類について

ワイヤレスイヤホンのコーデックとは、音声を圧縮・伝送するためのデジタル技術のことです。イヤホンの音質や接続性能は、使用するコーデックによって異なります。ここでは代表的な4つのコーデックを紹介したいと思います。

  • SBC(Subband Codec):Bluetooth接続における標準的なコーデックで、ほとんどのBluetoothデバイスに対応しています。音質は標準的で、低ビットレート(128kbps)での伝送に適しています。ただし、高音質の音源では劣化が目立つことがあります。
  • AAC(Advanced Audio Coding):iPhoneなどのApple製品で採用されているコーデックで、高音質で低ビットレートでも音質が劣化しにくいため、ストリーミングサービスなどでよく使われます。ただし、一部のBluetoothデバイスでは非対応の場合があります。
  • aptX:高音質な伝送が可能なコーデックで、高いビットレートでの伝送に対応しています。Bluetooth接続時に遅延が生じにくく、映像と音声を同期させたい場合にも適しています。ただし、対応するBluetoothデバイスが限られているため、利用する際には対応するデバイスを確認する必要があります。
  • LDAC:高音質な伝送が可能なコーデックで、Bluetooth接続時でも高音質な音楽再生が可能です。Sonyが開発したもので、一部のSony製品などで採用されています。ただし、対応するBluetoothデバイスが限られているため、利用する際には対応するデバイスを確認する必要があります。

以上のように、イヤホンのコーデックには、それぞれ特徴があります。選択するコーデックは、イヤホンや再生機器の対応するコーデックによって異なります。Bluetooth接続時に高音質な音楽再生をするためには、適切なコーデックを選択することが重要です。

それでは、これからiPhoneとAndroidのスマホで再生することを前提にして、どのコーデックが一番いいのか確認します。

iPhoneで使うイヤホンで一番良いコーデックはAAC

iPhoneで使用する場合、AACコーデックが一番良いとされています。なぜなら、iPhoneはAACに対応しており、AACは高音質でありながらデータ量が少なく、かつエネルギー効率が高いため、音声伝送時の遅延が少ないことが特徴です。

また、Apple MusicなどのストリーミングサービスではAAC形式での配信が多いため、イヤホンもAACに対応しているとより高音質での再生が可能になります。

ただし、AACコーデックに対応しているイヤホンであっても、音質や接続性能はイヤホンの機種や製造元によって異なるため、購入する際には事前にレビューや評価などを確認することをおすすめします。

 

Androidスマホで使うイヤホンで一番良いコーデックは?

Androidで使用する場合、現在最も一般的に使用されているBluetoothコーデックは、次の6個です。

  1. SBC
  2. AAC
  3. aptX
  4. aptX HD
  5. LDAC
  6. LDHC

これらのコーデックは、Bluetooth接続において音質と遅延のバランスを取ることを目的としています。一般的に、音質を優先する場合は、高ビットレートのコーデックが好まれます。

Bluetoothイヤホンのコーデックごとのビットレートは以下のとおりです。

  1. SBC (Subband Coding): 最大320 kbps
  2. AAC (Advanced Audio Coding): 最大320 kbps
  3. aptX: 最大352 kbps
  4. aptX HD: 最大576 kbps
  5. LDAC: 最大990 kbps(最大96 kHz/24ビット)
  6. LHDC: 最大900 kbps(最大96 kHz/24ビット)

ただし、これらのビットレートは最大値であり、使用環境や接続状態によっては、実際には低いビットレートで再生されることがあります。また、ノイズや遅延が発生する可能性もあります。

また、コーデックのビットレートが高いほど、音質が向上しますが、同時にデータ量も増加するため、電池の消費量も増えます。したがって、使用環境や目的に応じて適切なコーデックを選択することが重要です。

ただし、Androidスマートフォンやイヤホンの機種によっては、特定のコーデックに対応していない場合もあります。また、Bluetoothの接続品質や電池持ちなどにも影響を与えるため、使用環境や用途に応じて適切なコーデックを選択することが重要です。

 

    aptX Adaptiveというコーデックもあります

    上記の他に、aptX Adaptiveというコーデックもあります。aptX Adaptiveとは、aptXコーデックの進化版であり、Qualcommが開発したBluetoothオーディオコーデックの1つです。aptX Adaptiveは、Bluetooth接続時のデータ転送速度を自動的に調整することで、高品質かつ安定した音声再生を実現します。

    通常のaptXコーデックは、一定のビットレート(352 kbps)で音声を転送しますが、aptX Adaptiveは、接続状況や使用環境に応じて、自動的にビットレートを変更することができます。つまり、接続が安定している場合は高いビットレートで、接続が不安定な場合は低いビットレートで音声を転送することができます。

    aptX Adaptiveは、最大420 kbpsのビットレートをサポートしており、高品質な音声再生が期待できます。また、低遅延モードをサポートしているため、ビデオやゲームなどのコンテンツでも遅延を最小限に抑えた音声再生が可能です。

    aptX AdaptiveはQualcommが開発したプロプライエタリ(独占的)なコーデックであり、対応する再生機器が限られていることがあります。しかし、最近の高級ワイヤレスイヤホンやスマートフォンなどで、aptX Adaptiveに対応した製品が増えてきています。

     

    LDHCコーデックはHuaweiスマホだけのコーデック

    LDHC (Low-latency and High-Resolution Audio Codec)とは、音声コーデックの1つで、中国のHuawei Technologiesが開発したものです。Huaweiのスマートフォンやワイヤレスイヤホンなどで使用されています。

    LDHCは、高解像度かつ低遅延のオーディオ再生を可能にするコーデックです。Bluetooth接続時の音声遅延を約30msまで低減することができ、同じビットレートのAACやSBCに比べて、より高品質な音声再生が期待できます。また、データ転送量を低減することができるため、電池持ちの改善にもつながります。

    なお、LDHCはHuaweiが開発したプロプライエタリなコーデックであるため、他のスマートフォンや再生機器では使用できない可能性があります。ただし、Huaweiの一部の製品では、LDACやaptXなどの他のBluetoothコーデックにも対応しています。

     

    ワイヤレスイヤホンのコーデックについてのまとめ

    今回は、ワイヤレスイヤホンを選ぶときに気をつけなければならない「コーデック」についてまとめてみました。iPhoneならAAC対応のイヤホンでOKですし、Androidスマホの場合は、スマホ自体がどのコーデックに対応しているかを確認してから、ワイヤレスイヤホンを選ぶ様にしてください。

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