ヤマハのモニターヘッドホン「HPH-MT5/MT7/MT8」音質や装着感、スペックの違いを徹底比較

DTMを始めると、「ヘッドホンどうしよう?」と必ず出る悩み。スピーカー環境が整っていなければ、まずは“モニター用ヘッドホン”を1本持っておくのが安心です。中でも、音を“気持ちよく聴く”ではなく“正しく聴く”ための機材として、YAMAHA のモニターヘッドホンシリーズ「MTシリーズ」は、初心者からひとつ先の段階へ進みたい人まで幅広く支持されています。

この記事では、MTシリーズの中から「MT5/MT7/MT8」の3モデルを、DTMを始めたばかりでも迷わず選べるよう、価格感・スペック・使い勝手などについてわかりやすく解説します。

3モデルの特徴とおすすめの使い方

早速ですが、まずはMT5/MT7/MT8の3モデルの特徴を簡単にまとめ、どんな使い方がおすすめなのかを紹介します。

HPH-MT5

まずは“入門”の1本として。価格も抑えめ、装着も軽く、DTMに慣れるための“相棒”として非常に優秀です。作曲・打ち込み・動画作成・オンラインレッスン兼用など、用途も幅広く。

「DTMをまず楽しみたい!」という方にはピッタリ。

ただし、「低域の深み」や「極めて細かいミックス判断」はこの価格帯のヘッドホンとして妥当な範囲。将来的に、「もっと明確に低音をチェックしたい」「ハイエンドなリファレンスを使いたい」という気持ちが出たら、次のグレードも視野に入れましょう。

HPH-MT7

DTMを少し進めて、「録音もやりたい/ミックスも意識したい」という段階におすすめ。低域がさらに見えやすく、録音時のモニタリング(クリックやギター・ボーカル)にも安心感があります。

「録る・作る・持ち運ぶ」までカバーしたいなら、このモデルがコストパフォーマンス的にもバランス良し。

一点だけ、“長時間装着”や“装着感”には個人差があるので、可能なら実機でフィット感を試すことを推奨。

HPH-MT8

「1本で長く使いたい」「将来的に作品を完成させたい」「ミックス/マスタリングもこなしたい」という意志があるなら、こちらがベスト。レンジが広く、音の細部まで拾える設計なので、耳が少し慣れてきた段階でも長く使えます

また、付属ケーブル2本付きという点が“録音スタジオ・宅録・自宅ミックス”と用途をまたいで使う人に嬉しい。

ただし、価格が上がるので「まずは1本だけ」「気軽に始めたい」という場合は前の2機種からでも十分にスタートできます。

3モデルのスペック比較

それでは3モデルのスペックを表で比較してみます。主な特徴的なポイントをピックアップしています。

項目 HPH-MT5 HPH-MT7 HPH-MT8
方式 密閉・オーバーイヤー 密閉・オーバーイヤー 密閉・オーバーイヤー
ドライバー 40mm 40mm 45mm
周波数特性 20Hz–20kHz 15Hz–25kHz 15Hz–28kHz
感度(目安) 100 dB/mW 99 dB/mW 102 dB/mW
インピーダンス 51 Ω 49 Ω 37 Ω
重量(目安) 約245 g 約360 g 約350 g
付属ケーブル 3.0 m ストレート 3.0 m ストレート 3.0 m ストレート
+1.2 m コイル
付属品一例 6.3mm変換 変換+ポーチ 変換+ポーチ

各モデルの価格

  • HPH-MT5:新品で 約¥14,900(税込)~ が最安の傾向。

  • HPH-MT7:新品価格が 約¥20,700前後(税込)

  • HPH-MT8:新品価格 約¥24,500〜29,800(税込)

ドライバー口径とレンジ

MT8は45mmで、MT5/MT7(40mm)より低域の余裕と高域の伸びが出やすい設計。周波数特性のカタログ値もMT8が15–28kHzと最も広く、MT7は15–25kHz、MT5は20–20kHz。広い=必ず良い、ではないですが、音量を上げなくても細部が聴き取りやすいのは作業効率に直結します。 

感度とインピーダンス

感度(dB/mW)が高いほど、同じスマホやオーディオIFで鳴らした時に音量が取りやすいです。シリーズではMT8(102 dB/mW)が最も鳴らしやすい数値。インピーダンスはMT8が37Ωと低めで、一般的なオーディオインターフェイスでも十分駆動しやすい設計です。 

重量と装着感

MT5は約245gと軽量。長時間の打ち込みでも首や頭がラク。MT7/MT8はやや重めですが、そのぶん遮音性・ホールド感が高いので、歌や楽器の録音(クリック漏れ防止)に強いです。 

ケーブル&運用

MT8はストレートとコイルの2本が標準。スタジオではコイル、ミックスにはストレート、とシーンに合わせて付け替えできます。MT7は3mストレート、MT5はショップ情報では脱着式3mストレート。外出や持ち運びでは断線時の交換性も安心要素になります。 

音のキャラクター

  • MT5:軽快でフラット志向。ローが膨らみにくく、中高域のメロやリズムの輪郭が掴みやすい。打ち込みやアレンジ段階で粗探ししたいときに便利。
  • MT7:レンジが広がり、キックやベースの“芯”が見通しやすい。クリックを聴きながらの録音現場にも向く“頼れる標準機”。
  • MT8:シリーズで最も解像感とワイドレンジ。ボーカルの息遣い、コンプのかかり具合、ハイのザラつきなどミックス判断に必要な微細な変化をつかみやすい印象。レンジの広さはカタログ値にも現れています。 

よくある質問

DTM初心者でもモニターヘッドホンは必要ですか?
はい。モニターヘッドホンは“正確な音を聴くため”の基本ツールです。一般的なリスニング用ヘッドホンは音を心地よく加工していることが多いため、DTMではミックス判断を誤りやすくなります。最初の1本として持っておくと安心です。
オーディオインターフェイスが安くても使えますか?
問題ありません。HPH-MTシリーズはいずれも駆動しやすく、一般的なUSBオーディオインターフェイスで十分鳴らせます。特にMT8は感度が高く、スマホやノートPC直挿しでも音量が取りやすいモデルです。
長時間作業しても耳が疲れにくいモデルはどれ?
軽さと装着感を重視するならMT5がおすすめです。約245gとシリーズ最軽量で、長時間の打ち込みや夜間作業でも負担が少なめです。重めでも遮音性を優先したい場合はMT7/MT8を選ぶと良いでしょう。
配信やボーカル録音にも使えますか?
はい。いずれも密閉型なので、マイクへの音漏れが少なく、配信や録音に適しています。特にMT7とMT8は遮音性が高く、クリック音がマイクに回り込みにくい設計です。ただしヘッドセットは付いていないので、別にマイクを用意する必要があります。
ノイズキャンセリング機能(アクティブノイズキャンセル:ANC)はありますか?
いいえ。いずれのモデルも「アクティブノイズキャンセリング(ANC)」は搭載していません。ただし、遮音・アイソレーション(外部音を遮る構造)は「クローズドバック設計」で確保されており、環境音を完全に消すわけではありませんが、録音や打ち込み環境で十分な静けさを得られます。
イヤーパッドやケーブルの交換は必要ですか?
はい、長く使うなら消耗品メンテナンスも視野に入れておくと安心です。イヤーパッドは使用時間が長くなると柔らかさ・密閉性が変わってきますし、ケーブルも断線のリスクがあります。特に録音環境(移動・持ち出し)が多い場合、交換用ケーブルやパッドをあらかじめチェックしておくと安心です。

HPH-MT5/MT7/MT8比較のまとめ

DTM初心者にとって、ヘッドホンは“音を聴くための道具”であり“習慣を支える相棒”でもあります。この記事を参考にして、ぜひベストな一台を見つけてください。

  • MT5:軽くて扱いやすい“入門モニター”。はじめてのDTM、作曲練習、深夜の打ち込みや配信にも。コスパ最優先で“フラット寄りの相棒”が欲しいならコレ。

 

  • MT7:より骨太でモニター的。 MT5より低域の見通しが良く、スタジオ的な使い方(クリックを聴きながらの録音、ワンイヤーモニタリング)にも向く万能機。

 

  • MT8:シリーズのリファレンス。 ワイドレンジ&解像感、付属ケーブルも豊富。ミックス判断歌・楽器の録りを本気で詰めたい人、DTMをしっかり続ける意思がある人に最適。

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