スマホに突然「+1 855〜」から始まる知らない番号の着信――しかも、留守電には「厚生労働省保健局です。0を押してください」とのメッセージ。知らない番号だし、内容も本当っぽくて、不安になった方は少なくないはずです。
実はこれ、近年急増している海外発の詐欺電話の典型例です。特に「公的機関」を名乗る自動音声ガイダンスは、誰もが一瞬信じてしまう巧妙な手口。正体を知らないまま反応してしまうと、個人情報の流出や金銭被害に繋がるおそれがあります。
この記事では、+1 855からの着信の正体や詐欺の見分け方を、わかりやすく丁寧に解説します。不安や迷いを感じた方こそ、ぜひ参考にしてください。
+1 855から始まる電話番号はどこからの電話？
突然、スマホに「+1 855〜」で始まる見慣れない番号から着信があり、驚いた方も多いのではないでしょうか。「もしかして海外の知り合い？」「出たほうがいい？」と不安になりますが、まず冷静に番号の意味を知ることが大切です。
+1はアメリカ・カナダの国番号
「+1」は、国際電話におけるアメリカ合衆国およびカナダの国番号です。つまり、この番号からかかってきた場合、発信地は基本的に北米のどこかということになります。とはいえ、最近ではインターネット回線を使ったIP電話などで、海外番号を簡単に取得・偽装できるため、実際に北米にいるとは限りません。
特に、詐欺業者はこの国番号を悪用し、「公式っぽい番号」に見せかけて信頼を得ようとすることがあります。
855は「フリーダイヤル専用」の番号
「855」は、アメリカやカナダで使用されているトールフリー（フリーダイヤル）番号の1つです。日本でいうところの「0120」「0800」に相当します。つまり、「+1 855〜」は、アメリカやカナダのフリーダイヤル回線を使った発信と考えられます。
本来であれば企業のカスタマーサポートなどで使われる番号ですが、この仕組みを悪用する詐欺グループが存在するのが実情です。
なぜ日本に国際番号で着信するのか？
本来、日本に住む一般人に対してアメリカやカナダのフリーダイヤル番号から直接電話がかかってくることは極めて稀です。考えられる主な理由は以下の通りです。
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 本物の国際連絡 | 北米に住む家族・知人・企業などからの正規の連絡（可能性は低い） |
| 詐欺電話 | 自動音声や外国人オペレーターを使って金銭や個人情報をだまし取る手口 |
| 電話番号のランダム発信 | 電話番号リストを使って手当たり次第に発信しているケース |
+1 855からの電話は詐欺？よくある手口と見分け方
「+1 855」からの着信で、「厚生労働省保健局です。0を押してください」といった留守電が入っていた場合、詐欺の可能性が極めて高いです。実際、国内でも同様のケースが多数報告されており、警察庁や総務省でも注意喚起が行われています。この章では、詐欺電話の手口と見分け方を具体的にご紹介します。
実際に報告されている詐欺事例
近年、「+1 855〜」からの不審な着信や自動音声による詐欺事例が急増しています。以下はその一部です。
厚生労働省・保健局を名乗るパターン
「新型コロナ関連の確認です」「医療費還付のお知らせです」などの理由で0を押させ、オペレーターに繋げる手口。名前や住所、生年月日を聞き出したうえで、銀行口座番号やクレジットカード情報まで要求される事例も。
Amazonや楽天を装った詐欺
「あなたのアカウントで不正利用がありました」「プライム会費の請求についての確認です」など、著名サービスを名乗って不安を煽る手口も報告されています。
音声ガイダンスでの脅し
「この電話は重要です。応答がない場合、法的措置を取ります」と脅すような内容で、焦らせて反応させるのが特徴です。
詐欺かどうかを見分ける3つのチェックポイント
以下の項目に1つでも該当する場合、詐欺の可能性が極めて高いと判断して問題ありません。
| チェックポイント | 内容 |
|---|---|
| 不自然な自動音声 | 機械的で早口、無感情な音声案内は要注意 |
| 0や1のボタン操作を要求 | 正規の機関が電話で操作を要求することはありません |
| 実在する機関名を名乗る | 厚生労働省、税務署、裁判所などを名乗るケース多数 |
SMS（ショートメッセージ）での詐欺も増加中
電話だけでなく、+1 855番号からショートメッセージ（SMS）でリンクを送ってくる手口も確認されています。内容は以下のようなものです。
-
「お客様のアカウントに異常があります」
-
「ご本人確認のため、こちらのURLから手続きしてください」
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「未納金があります。詳細は以下をご確認ください」
これらのリンクをクリックすると、偽のログイン画面に誘導されてID・パスワード・カード情報などを盗まれる危険性があります。
+1 855から電話が来たときの正しい対処法
突然の国際電話、しかも「厚生労働省」や「保健局」と名乗られると、不安になるのも当然です。ですが、慌てて対応すると、かえって被害に遭いやすくなります。ここでは、+1 855からの着信を受けた際に絶対にやるべきこと・やってはいけないことを具体的に紹介します。
絶対にやってはいけない対応とは？
詐欺電話に対してやってはいけないことは、次の3つです。
| NG対応 | なぜ危険か？ |
|---|---|
| 0などの番号を押す | 詐欺オペレーターに繋がり、誘導されやすくなる |
| 折り返し電話をかける | 高額通話料金を請求される可能性もある |
| 名前・住所・番号などを伝える | 個人情報を盗まれ、他の詐欺にも悪用される |
無視しても大丈夫？折り返すべき？
結論から言えば、無視でまったく問題ありません。+1 855からの着信に正当な理由がある場合、日本在住者に対して日本の電話番号・メールなどで改めて正式に連絡があるのが一般的です。
折り返してしまうと、次のようなリスクがあります。
-
海外回線経由のため、高額な通話料金が発生
-
詐欺グループの“反応した番号”リストに登録される
-
録音された音声を使った詐欺に悪用される可能性も（声紋詐欺）
しつこい着信が続く場合の対処法
1回で終わらず、何度も+1 855から電話がかかってくるケースもあります。その場合の対処法は次の通りです。
スマホの設定で番号をブロックする
iPhone・Androidどちらも着信履歴からブロック可能です。
「迷惑電話ブロックアプリ」を導入する
NTTの「迷惑電話ストップサービス」や、「Whoscall」などの無料アプリが有効です。
携帯電話のキャリアに相談する
docomo・au・SoftBankなどでは、国際番号を一括拒否できる設定もあります。
| 対応策 | 詳細 |
|---|---|
| スマホの番号ブロック | 着信履歴 → 番号 → 「この発信者を着信拒否」 |
| アプリ導入 | Whoscall、Truecaller など |
| キャリア設定 | マイページまたは店舗で設定可能 |
まとめ
「+1 855」からの電話は、アメリカやカナダのフリーダイヤル番号を装った詐欺電話の可能性が極めて高いです。特に、厚生労働省や保健局を名乗るケースは信じやすく、不安につけ込んで情報を引き出す典型的な手口ですが、日本の行政機関が海外の番号から一般市民に連絡することはほぼなく、「0を押す」「名前を名乗る」「折り返す」といった行動は、すべて詐欺だと思っても良いでしょう。
知らない番号からの着信は、すぐに出たり反応したりせず、まずは検索して情報収集を。怪しいと感じたら、迷わずブロックや通報を行いましょう。
そして、万が一個人情報を伝えてしまった場合は、すぐに警察・消費者センター・利用している銀行などに連絡を。「自分は大丈夫」と思わず、冷静かつ慎重な対応を心がけることが、詐欺被害を防ぐ最善の方法です。
知らない番号からの電話には出ない、特に海外からのフリーダイヤル着信は特別な事情がない限り詐欺だと思って出ないように気をつけましょう。
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