仮想通貨の大切な仕組み、デジタル署名と公開鍵・秘密鍵

仮想通貨は、デジタル署名された電子的コインで、デジタル署名は仮想通貨の取引においてとても重要な役割を担っています。そこで今回は、「デジタル署名」について考えてみますが、「デジタル署名」を理解するためには「公開鍵・秘密鍵」も知っておく必要があります。

デジタル署名

デジタル署名を一言であらわすと、

データ上で本人確認ができる公開鍵暗号を利用した仕組み

です。

仮想通貨の送金処理では「デジタル署名」が使われていて、これにより、仮想通貨の送金が「秘密鍵」の持ち主本人が行ったものであり、改ざん・偽造されたものではないということを証明することができます。

「公開鍵」「秘密鍵」というキーワードが出てきましたので、簡単に解説します。

「公開鍵」と「秘密鍵」

ビットコインをはじめとした多くの仮想通貨では、公開鍵暗号方式という仕組みを採用しています。

公開鍵暗号方式とは、「公開鍵」と「秘密鍵」という2つの鍵を使用して情報のやり取りを行う仕組みのことです。「公開鍵」と「秘密鍵」は1対1でペアになっていて、ペアになっている鍵でだけ開けることができます。

 

まず、「公開鍵」で情報に鍵をかけ、相手に情報を送ります。そのあと受け取った人は「公開鍵」と対になっている「秘密鍵」を使って鍵を解錠します。

この「公開鍵暗号方式」はメールの送受信などでも広く使われている仕組みです。そして、ビットコインの場合、この「公開鍵」はビットコインのネットワーク上に公開されているという特徴があります。

「公開鍵」はその名の通り公開されていますが、「秘密鍵」は非公開であり、本人しか知ることができません。

デジタル署名の流れ(ビットコインの例)

それでは、実際に仮想通貨の送金はどのように行われているか、ビットコインを例に挙げて説明します。

  1. 送金者は秘密鍵から、暗号を使って公開鍵を作成します。
  2. 「誰が、誰に、どのくらいを送金した」という取引データを、秘密鍵を使って変換した「署名データ」を作ります。
  3. 変換した情報と公開鍵をマイナー(ビットコインのネットワーク上のコンピュータ)に渡します
  4. マイナーは公開鍵を使って署名データを検証し、送金が有効であることを証明します
  5. マイナーの証明が完了すると送金することができます。

もし秘密鍵を無くしたらどうなるのか…

実際にあった話です。

自分でビットコインのマイニングをして、実に7500BTCものビットコインを手にしていたエンジニアがいました。

しかし、そのエンジニアは残念なことにそのビットコインの秘密鍵を謝って処分してしまいました。

秘密鍵は仮想通貨の所有権を証明するもので、これがないと資産を動かすこと(アクセスすること)ができなくなります。

7500BTCを、仮にビットコインが100万円だったとすると、その価値はなんと・・・

75億円!

「億り人」なんていうレベルではないですね。

ということは、このエンジニアは75億円もの資産をみすみす捨ててしまったと同時に、この7500BTCは永遠に誰も触れることのできない幻のコインとなってしまいました。

 

このように仮想通貨における秘密鍵は本当に重要なものです。秘密鍵を取引所に預けておけば無くすことは無いと思いますが、ハッキングなどの攻撃の危険性は認識しておかなければなりません。

また、ハードウェアウォレットやデスクトップウォレットなどを利用して自身で管理しておけば、外部からの攻撃は受けにくくなりますが、その管理方法もしっかりと把握しておく必要があります。

くれぐれも「秘密鍵を無くした・・・」なんてことにならないように注意しましょう。

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