ヤマハのTHRシリーズは、コンパクトながら本格的なギターサウンドを楽しめるデスクトップアンプです。
そのなかでも初代モデルの「THR5」「THR5A」「THR10」は外観がよく似ているため、次のように迷う人も多いのではないでしょうか。

「THR5とTHR5Aは何が違う?」
「THR5よりTHR10のほうが音量は大きい?」
「エレキギターの自宅練習にはどれがいい?」
結論からいうと、エレキギターを手軽に楽しむならTHR5、エレアコならTHR5A、音作りや対応楽器の幅を重視するならTHR10がおすすめです。
特に注意したいのが、THR5とTHR10の定格出力はどちらも10Wという点です。THR10はTHR5より大音量のモデルというより、機能を充実させた上位モデルと考えると分かりやすいでしょう。
この記事では、ヤマハTHR5・THR5A・THR10の違いと、それぞれどのような人におすすめなのかを分かりやすく解説します。
THR5・THR5A・THR10の違いを一覧で比較
3機種の主な違いを比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | THR5![]() |
THR5A![]() |
THR10![]() |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | エレキギター | エレアコ、ナイロン弦 | エレキ、ベース、エレアコ |
| アンプタイプ | 5種類 | 5種類 | 8種類 |
| エレキ用歪みモデル | あり | 基本的になし | あり |
| ベース用モデル | なし | なし | あり |
| エレアコ用モデル | なし | 4種類 | あり |
| イコライザー | TONE | TONE | BASS、MIDDLE、TREBLE |
| ユーザーメモリー | なし | なし | 5種類 |
| 定格出力 | 10W | 10W | 10W |
| スピーカー | 8cm×2 | 8cm×2 | 8cm×2 |
| 本体サイズ | 幅271×高さ167×奥行120mm | 幅271×高さ167×奥行120mm | 幅360×高さ183.5×奥行140mm |
| 重量 | 2.0kg | 2.0kg | 2.8kg |
| 電池駆動 | 対応 | 対応 | 対応 |
| USB接続 | 対応 | 対応 | 対応 |
もっとも大きな違いは、対応する楽器と音作りの自由度です。
THR5とTHR10はエレキギター向けですが、THR5Aはアコースティックギターの音を自然に再現することに特化しています。
THR5とTHR5Aの違い
THR5とTHR5Aは本体サイズ、重さ、出力が同じです。しかし、搭載されているアンプタイプは大きく異なります。
THR5はエレキギター向け
THR5には、次の5種類のアンプタイプが搭載されています。
- CLEAN
- CRUNCH
- LEAD
- BRIT HI
- MODERN
透明感のあるクリーンサウンドから、ロックやハードロックで使える力強い歪みまで作れるのが特徴です。
CLEANはクリーンな音、CRUNCHは軽く歪んだ音、LEADはリード演奏向けの伸びやかな音に適しています。BRIT HIとMODERNを選べば、より強く歪んだハイゲインサウンドも楽しめます。
エレキギターを自宅で練習することが目的なら、THR5でも十分に幅広い音を出せます。
THR5Aはエレアコ向け
THR5Aには、次の5種類のアンプタイプが搭載されています。
- CONDENSER
- DYNAMIC
- TUBE
- NYLON
- EG CLN
CONDENSER、DYNAMIC、TUBEは、エレアコの音を異なる種類のマイクで収音したようなサウンドに変えるモデルです。
CONDENSERは自然でクリア、DYNAMICは芯があり引き締まった音、TUBEは中音域が豊かな温かい音を再現します。
NYLONはクラシックギターやエレクトリックナイロンギター向けです。EG CLNはエレキギター用のクリーンアンプモデルとなっています。
THR5Aは、エレアコのピックアップ特有の硬さを抑え、マイクで録音したような自然な響きを楽しみたい人に適しています。
エフェクトの構成も異なる
THR5はエレキギター向けとして、コーラス、フランジャー、フェイザー、トレモロなどのエフェクトを搭載しています。
THR5Aはアコースティックギターとの相性を考え、コンプレッサーやコーラスを中心とした構成です。
コンプレッサーは音量のばらつきを整えられるため、フィンガースタイルやアルペジオでも使いやすいエフェクトです。
エレキらしい音の変化を楽しみたいならTHR5、アコギの音を整えながら自然に広げたいならTHR5Aが向いています。
THR5Aでエレキギターは使える?
THR5Aにもエレキギターを接続できます。
搭載されているEG CLNを選べば、クリアで豊かなクリーンサウンドを出せます。外部のオーバードライブやディストーションを接続して使うことも可能です。
ただし、THR5に搭載されているCRUNCH、LEAD、BRIT HI、MODERNはありません。アンプ本体だけでロック向けの歪みを作りたい場合は、THR5またはTHR10を選んだほうがよいでしょう。
THR5Aはエレキギターも鳴らせますが、あくまでエレアコを中心に使う人向けのモデルです。
THR5でエレアコは使える?
THR5にエレアコを接続して音を出すことはできます。
ただし、THR5にはTHR5Aのようなアコースティックギター用マイクシミュレーションがありません。接続できることと、エレアコの音を自然に鳴らせることは別と考えたほうがよいでしょう。
エレアコを本格的に鳴らしたい場合や、サイレントギターを自宅で楽しみたい場合はTHR5Aがおすすめです。
THR5とTHR10の違い
THR5とTHR10は、どちらもエレキギター向けの基本アンプタイプを搭載しています。
THR10はTHR5よりも本体が大きく、アンプタイプ、イコライザー、ユーザーメモリーなどの機能が追加されています。
THR10はアンプタイプが3種類多い
THR5のアンプタイプは5種類ですが、THR10には次の3種類が追加されています。
- BASS
- ACO
- FLAT
BASSはエレキベース用、ACOはエレアコ用です。FLATはギターアンプのような色付けを抑えた入力で、外部機器やさまざまな楽器を接続するときに利用できます。
エレキギターだけを弾くならTHR5でも対応できますが、ベースやエレアコにも使いたい場合はTHR10のほうが便利です。
ただし、THR10のACOはエレアコ向けの基本的なモデルです。エレアコをメインで使用し、音色の違いを細かく楽しみたい場合はTHR5Aが適しています。
THR10は3バンドイコライザーを搭載
THR5の音質調整はTONEノブひとつです。操作が簡単で、直感的に音を明るくしたり柔らかくしたりできます。
THR10は、次の3バンドイコライザーを搭載しています。
- BASS:低音域を調整
- MIDDLE:中音域を調整
- TREBLE:高音域を調整
低音を抑えて輪郭をはっきりさせる、中音域を強調してギターの存在感を出すなど、細かな音作りができます。
手軽さを重視するならTHR5、好みに合わせて音を追い込みたいならTHR10がおすすめです。
THR10には5つのユーザーメモリーがある
THR10には、作成した音色を保存できる5つのユーザーメモリーが搭載されています。
たとえば、クリーン、クランチ、バッキング、リード、練習用などの設定を登録しておけば、ボタンを押すだけで呼び出せます。
THR5にはユーザーメモリーがないため、音色を変更するときはノブを調整し直す必要があります。
複数の音色を頻繁に切り替えるなら、THR10のメモリー機能は大きなメリットです。
THR10はTHR5より音量が大きい?
THR5とTHR10の定格出力は、どちらも10Wです。
THR5が5W、THR10が10Wという意味ではありません。THR5という製品名だけを見て、出力が5Wだと勘違いしないように注意しましょう。
両モデルとも5W+5Wのステレオ出力で、8cmのフルレンジスピーカーを2基搭載しています。
どちらも自宅練習やデスクトップでの演奏に適したアンプです。ドラムを含むバンド練習やライブで、大音量を出すことを目的としたモデルではありません。
THR10はTHR5より筐体が大きいため、音の広がりや低音の余裕を感じる可能性はありますが、定格出力そのものは同じです。
本体サイズと持ち運びやすさの違い
THR5とTHR5Aのサイズは、幅271×高さ167×奥行120mmで、重量は2.0kgです。
THR10は幅360×高さ183.5×奥行140mmで、重量は2.8kgとなっています。
THR5とTHR5AはTHR10より横幅が約9cm短く、重量も約800g軽いため、机の上や棚に置きやすいのがメリットです。
部屋の中で移動させたり、旅行先や練習場所へ持ち運んだりする場合も、THR5シリーズのほうが扱いやすいでしょう。
一方、THR10は設置スペースが少し必要になるものの、操作性と機能性に優れています。
THR5・THR5A・THR10の共通点
3機種には、次のような共通点があります。
- 定格出力10W
- ステレオスピーカー搭載
- クロマチックチューナー内蔵
- AUX入力対応
- ヘッドホン出力対応
- USB接続対応
- 単3形電池8本による駆動に対応
- ギター演奏と音楽再生を同時に楽しめる
パソコンとUSB接続すれば、ギターの録音にも利用できます。また、スマートフォンなどをAUX端子へ接続すれば、好きな曲や練習用音源を流しながら演奏できます。
THR5がおすすめの人
- エレキギターをメインで弾く
- 自宅練習用の小型アンプが欲しい
- クリーンからハイゲインまで楽しみたい
- 細かい設定より簡単な操作を重視する
- コンパクトで持ち運びやすいアンプを探している
THR5Aがおすすめの人
- エレアコをメインで弾く
- サイレントギターを接続したい
- ナイロン弦ギターを自然な音で鳴らしたい
- 弾き語りやフィンガースタイルを楽しみたい
- マイクで収音したようなアコギサウンドが欲しい
THR5AはTHR5の色違いではありません。内部のアンプモデルとエフェクトがアコースティックギター向けに設計された別モデルです。
THR10がおすすめの人
- エレキ、ベース、エレアコを1台で鳴らしたい
- 低音、中音、高音を細かく調整したい
- 作った音色を保存したい
- 複数の音色を素早く切り替えたい
- 本体サイズより音作りの自由度を重視する
「YAMAHAのギターアンプ「THR10」と「THR10II」の違いを比較!初代は今でも買い?」
中古で購入するときの注意点
THR5、THR5A、初代THR10は発売から年数が経過しているため、中古品を検討する人も多いでしょう。
購入前には次の点を確認してください。
- 電源アダプターが付属しているか
- INPUT端子に接触不良がないか
- 各ノブを回したときにノイズが出ないか
- スピーカーから音割れや異音が出ないか
- USB端子が正常に使えるか
- 電池ボックスに液漏れや腐食がないか
- THR5とTHR5Aを取り違えていないか
特にTHR5とTHR5Aは本体サイズが同じですが、用途が大きく異なります。エレキギター用の歪みが必要なのにTHR5Aを購入してしまうと、期待した音を出せない可能性があります。
また、THR10と後継機のTHR10IIは別製品です。Bluetoothや専用アプリなどの機能を求める場合は、購入するモデル名をよく確認しましょう。
まとめ|エレキならTHR5、エレアコならTHR5A、機能重視ならTHR10
ヤマハTHR5・THR5A・THR10は、外観が似ていても用途と機能が異なります。
選び方を簡単にまとめると、次のとおりです。
- エレキギターを手軽に楽しむならTHR5
- エレアコやサイレントギターならTHR5A
- エレキ、ベース、エレアコを幅広く使うならTHR10
- 細かな音質調整や音色保存が必要ならTHR10
- コンパクトさと持ち運びやすさならTHR5またはTHR5A
エレキギターだけを自宅で練習するなら、THR5でも基本的な音作りを十分に楽しめます。
エレアコの自然な響きを重視するならTHR5A、複数の楽器への対応や細かな音作りを求めるならTHR10を選ぶと、購入後の後悔を減らせるでしょう。


