有線イヤホンを高音質で楽しみたい人の間で注目されているのが、HiBy MusicのポータブルDAC「HiBy W4」です。2インチのカラータッチスクリーンを搭載し、再生中のアルバムアートも表示できるため、見た目は小型DAPのように感じられます。
しかし、HiBy W4は厳密にはDAPではありません。本体だけで音楽を保存・再生する機能はなく、スマートフォンやパソコンを音源として使うBluetoothレシーバー兼USB DACです。
それでも、スマートフォンとHiBy W4を組み合わせれば、普段使っている音楽アプリをそのまま利用しながら、有線イヤホンの音質を引き上げられます。「高価なDAPを持ち歩くほどではないけれど、スマホの音をもっと良くしたい」という人にとって、非常に魅力的な選択肢です。
この記事の結論
HiBy W4は単体で音楽を再生できるDAPではありません。ただし、スマホと組み合わせることで、DAPに近い操作感と本格的な有線イヤホン環境を手軽に構築できます。
HiBy W4とは?DAPのように使えるポータブルDAC
HiBy W4は、HiBy Musicが展開するBluetooth・USB両対応のポータブルDACアンプです。日本では2026年4月10日に発売され、実売価格は2万円前後となっています。
最大の特徴は、BluetoothレシーバーとUSB DACという2種類の使い方を1台にまとめていることです。ケーブルなしでスマホと接続することも、USB Type-Cケーブルでスマホやパソコンと接続することもできます。
さらに、2インチのカラータッチスクリーンを搭載。Bluetooth接続時には曲名やアルバムアートを表示でき、各種設定も画面を見ながら操作できます。一般的な小型DACより視認性が高く、まるで小型DAPを操作しているような感覚で使えるのが魅力です。
HiBy W4はDAPではない?両者の違い
DAPとは「デジタル・オーディオ・プレーヤー」の略で、音楽ファイルを保存し、本体だけで再生できる機器を指します。Androidを搭載したDAPなら、Wi-Fiに接続してSpotifyやAmazon Musicなどのストリーミングサービスを利用できるモデルもあります。
一方、HiBy W4には音楽を保存するための内蔵ストレージやmicroSDカードスロット、音楽再生アプリがありません。スマートフォンやパソコンから音声信号を受け取り、高音質に変換してイヤホンへ出力する機器です。
| 比較項目 | HiBy W4 | 一般的なDAP |
|---|---|---|
| 製品の種類 | Bluetoothレシーバー兼USB DAC | デジタルオーディオプレーヤー |
| 単体での音楽再生 | できない | できる |
| 音源 | スマホ・タブレット・パソコン | 内蔵ストレージ・microSD・音楽アプリ |
| ストリーミング再生 | 接続したスマホ側で操作 | 対応モデルなら本体で操作 |
| 携帯性 | 約93.3gでコンパクト | W4より大きく重い製品が多い |
| 価格 | 2万円前後 | 入門機から高級機まで幅広い |
画面が付いているのでDAPに見えますが、W4だけを持って外出しても音楽は再生できません。必ずスマートフォンなどの再生機器が必要です。
HiBy W4をDAP代わりに使うメリット
スマホの音楽を有線イヤホンで高音質化できる
最近のスマートフォンはイヤホンジャックを搭載しない機種が多く、有線イヤホンを使うには変換アダプターやDACが必要です。HiBy W4を使えば、スマートフォンに保存した音楽だけでなく、Apple Music、Amazon Music、Spotify、YouTube Musicなどの音声を有線イヤホンで楽しめます。
普段から使い慣れているスマホアプリをそのまま操作できるため、新しいDAPへ音楽データを移したり、アプリを設定し直したりする手間もありません。スマホ中心の使い方を変えずに音質をアップグレードできる点は、専用DAPにはない気軽さです。
BluetoothとUSBを使い分けられる
HiBy W4にはBluetoothモードとUSBオーディオモードが用意されています。移動中はBluetoothで身軽に使い、自宅やデスクではUSB接続で音質を優先する、といった使い分けが可能です。
BluetoothはLDAC、aptX Lossless、aptX Adaptive、aptX HD、aptX、AAC、SBCに対応しています。AndroidスマホならLDACやaptX系コーデック、iPhoneならAACを利用するのが基本です。ただし、実際に使われるコーデックはスマートフォン側の対応状況によって異なります。
USB接続では最大DSD512、PCM 768kHzに対応します。Bluetoothよりも伝送上の制約が少ないため、ロスレス音源やハイレゾ音源をできるだけ高品位に聴きたい場合はUSB接続が向いています。
デュアルCS43198 DACを搭載
HiBy W4は、Cirrus LogicのDACチップ「CS43198」を左右独立で2基搭載しています。3.5mmシングルエンド出力のほか、4.4mmバランス出力にも対応し、イヤホンやヘッドホンに合わせて接続方法を選べます。
4.4mmバランス出力は32Ω負荷時に最大475mW、3.5mm出力は最大125mWです。小型のBluetooth DACとしては余裕のある出力で、一般的なイヤホンだけでなく、ある程度鳴らしにくいヘッドホンにも対応しやすい仕様です。
ただし、最大出力が高いからといって、すべての大型ヘッドホンを十分に鳴らせるとは限りません。高インピーダンスや低能率のヘッドホンを中心に使う場合は、据え置き型アンプや、より高出力なDAPも候補に入れましょう。
タッチスクリーンで操作しやすい
一般的なBluetoothレシーバーは、小さなランプや物理ボタンだけで状態を確認する製品も少なくありません。HiBy W4は2インチのカラータッチスクリーンを搭載しているため、Bluetoothのペアリング、再生・一時停止、フィルターなどの設定を画面で確認しながら操作できます。
Bluetooth接続時にはアルバムアートの表示にも対応しています。スマホをポケットやバッグに入れたまま再生中の曲を確認しやすく、DAPらしい視覚的な楽しさを味わえる点もW4ならではです。なお、端末やシステムの互換性によってはアルバムアートが表示されない場合があります。
スマホのバッテリー消費を抑えやすい
バッテリーを搭載しないドングルDACは、接続したスマートフォンから電力を受け取るため、スマホ側のバッテリー消費が増えます。HiBy W4は1500mAhのバッテリーを内蔵し、Bluetooth接続では本体のバッテリーで動作します。
USB接続時には、専用のUnChargeレバーで給電方法を切り替えられます。W4の内蔵バッテリーを使って動作させれば、スマホからの給電を抑えられるだけでなく、外部電源由来のノイズの影響を抑える効果も期待できます。
小型・軽量で持ち運びやすい
本体サイズは約66.15×65.1×21.5mm、重量は約93.3gです。一般的なAndroid搭載DAPよりコンパクトで、着脱式のメタルクリップを使えば、服の襟元やポケット、バッグなどに固定できます。
別売りのMagSafe Magnetic Backplateを使えば、MagSafe対応アクセサリーと組み合わせてスマートフォンの背面へ固定することも可能です。USB接続時にスマホとW4をひとまとめにしやすく、ケーブルの取り回しも改善できます。
HiBy W4をMagSafeでスマホに固定する方法
HiBy W4は、MagSafeスタイルでスマートフォンの背面に固定できることも大きな魅力です。W4とスマホを重ねて持てるため、USB DACとして使うときに本体がぶら下がりにくく、DAPのような一体感のある見た目になります。
ただし、HiBy W4本体にMagSafe固定用の磁石が内蔵されているわけではありません。MagSafeで固定するには、別売りのアクセサリー「MagSafe Magnetic Backplate」が必要です。
MagSafe Magnetic Backplateの取り付け方
W4の着脱式メタルクリップを取り外し、その位置へMagSafe Magnetic Backplateを装着します。装着後は、MagSafe対応iPhoneやMagSafe対応ケースの背面にW4を固定できます。
MagSafe非対応のAndroidスマートフォンやケースでも、市販のマグネットリングなどを貼り付ければ利用できる場合があります。ただし、固定力や機器への影響は組み合わせによって異なるため、アクセサリーの説明を確認したうえで使用してください。
MagSafeとUSB接続は相性が良い
HiBy W4をUSB DACとして使う場合、スマホとW4をUSB Type-Cケーブルで接続します。本体をMagSafeでスマホ背面に固定すれば、2台を片手で持ちやすくなり、ケーブルやW4が揺れる煩わしさも軽減できます。
高音質を優先してUSB接続を使いたいものの、従来のドングルDACがぶら下がる状態を避けたい人にとって、MagSafe Magnetic Backplateは実用性の高いアクセサリーです。
Bluetooth接続でもMagSafe固定は便利
Bluetooth接続ではスマホとW4をケーブルでつなぐ必要はありません。それでも、W4をスマホの背面に固定しておけば、2台をまとめて持ち運べます。画面でアルバムアートや設定を確認しやすく、スマホと小型DAPを一体化したようなスタイルで使えます。
MagSafe利用時のチェックポイント
専用バックプレートは別売りです。スマホケースの厚さや素材によって固定力が弱くなる場合があるため、MagSafe対応ケースとの組み合わせがおすすめです。
HiBy W4をDAP代わりに使う場合の注意点
スマホなしでは音楽を再生できない
最大の注意点は、HiBy W4が単体再生に対応していないことです。音楽ファイルを保存するストレージもなく、microSDカードも挿入できません。スマホの通知や着信から切り離し、音楽だけに集中したい人には専用DAPのほうが適しています。
Bluetooth接続は完全な有線接続ではない
LDACやaptX Losslessなどに対応していても、スマホからW4までの区間はBluetooth通信です。対応コーデック、通信環境、スマホ側の設定によって音質や遅延が変わります。
音質を最優先する場合は、スマートフォンとW4をUSBケーブルで接続しましょう。ワイヤレスの利便性を重視するならBluetooth、ロスレス再生や安定性を優先するならUSBと考えると選びやすくなります。
バッテリー持続時間はDAPより短め
公称再生時間は、AAC連続再生時で3.5mm出力が約6.3時間、4.4mmバランス出力が約5時間です。通勤や日常の外出には使いやすい範囲ですが、長距離移動や一日中の使用では途中で充電が必要になる可能性があります。
特に4.4mmバランス接続は消費電力が増えやすいため、外出前に充電残量を確認しておきましょう。スマホとW4の2台を充電する必要がある点も、専用DAPや完全ワイヤレスイヤホンとの違いです。
初期状態では音量に制限がある
HiBy W4は聴覚保護を目的として、初期状態では最大音量が15に制限されています。使用するイヤホンやヘッドホンによっては、音量が足りないと感じる場合があります。
本体の「デバイスについて」にあるバージョン番号を5回タップして開発者向けオプションを有効にし、「ボリュームロック」をオフにすると、最大音量を30まで引き上げられます。解除後は急激に音量を上げず、小さい音から慎重に調整してください。
音量制限を解除する際の注意
高出力の4.4mmバランス接続では、イヤホンによって非常に大きな音が出る可能性があります。耳を守るため、イヤホンを装着する前に音量を下げておきましょう。
HiBy W4の主なスペック
| 製品名 | HiBy Music W4 |
|---|---|
| 製品分類 | Bluetoothレシーバー・USB DACアンプ |
| DAC | CS43198×2 |
| Bluetooth | Bluetooth 5.4 |
| 対応コーデック | aptX Lossless、aptX Adaptive、aptX HD、aptX、LDAC、AAC、SBC |
| USB再生 | 最大DSD512、PCM 768kHz |
| 出力端子 | 3.5mm、4.4mmバランス |
| 最大出力 | 3.5mm:125mW、4.4mm:475mW(32Ω負荷時) |
| バッテリー | 1500mAh |
| 再生時間 | 3.5mm:約6.3時間、4.4mm:約5時間 |
| サイズ | 約66.15×65.1×21.5mm(クリップ除く) |
| 重量 | 約93.3g |
| 発売日 | 2026年4月10日 |
HiBy W4のおすすめの使い方
外出中はBluetoothで身軽に使う
通勤や散歩ではスマホとW4をBluetoothで接続し、W4をクリップで服やバッグに固定する使い方が便利です。スマホとの間にケーブルがないため取り回しが良く、イヤホンケーブルだけを気にすれば済みます。
自宅ではUSB接続で音質を優先する
自宅や職場のデスクでは、付属のUSB Type-Cケーブルを使ってスマホやパソコンと接続します。USBモードならW4のDAC性能を活用しやすく、ロスレス音源やハイレゾ音源をじっくり楽しみたい場合に適しています。
iPhoneでは別売りのMagSafeバックプレートを使う
別売りのMagSafe Magnetic Backplateを使えば、W4をiPhoneの背面に固定して一体感のあるスタイルで持ち運べます。Bluetooth接続ならケーブルはイヤホン側だけ、USB接続なら短いケーブルでまとめられます。標準付属品ではないため、必要な人はW4本体とあわせて用意しましょう。
車載オーディオをBluetooth対応にする
HiBy W4はカーオーディオ最適化モードにも対応しています。スマホとW4をBluetoothで接続し、W4の3.5mm端子から車載オーディオのAUX入力につなげば、古いカーオーディオでもワイヤレス再生環境を構築できます。
設定後は車の電源に連動してW4を起動・終了させる使い方が可能です。ただし、接続に必要なAUXケーブルは付属していません。
HiBy W4とDAPはどちらを選ぶべき?
HiBy W4がおすすめな人
- スマホの音楽アプリをそのまま使いたい人
- 有線イヤホンをBluetoothでもUSBでも使いたい人
- 一般的なDAPより小さく軽い機器を探している人
- 3.5mmと4.4mmバランスを使い分けたい人
- 2万円前後でスマホの音質をアップグレードしたい人
- アルバムアートを表示できる画面付きDACが欲しい人
専用DAPがおすすめな人
- スマホを持たずに音楽だけを楽しみたい人
- スマホの通知や着信に邪魔されたくない人
- microSDカードへ大量の音源を保存したい人
- ストリーミングアプリをプレーヤー本体で操作したい人
- 一日中使える長いバッテリー持続時間を重視する人
- 高出力が必要なヘッドホンを本格的に鳴らしたい人
選び方は「単体で再生したいか」が分かれ目です。スマホを音源として使うことに抵抗がなければHiBy W4、スマホから音楽環境を完全に分離したいならDAPが向いています。
HiBy W4に関するよくある質問
HiBy W4だけで音楽を再生できますか?
できません。HiBy W4はDAPではなく、Bluetoothレシーバー兼USB DACです。音源となるスマートフォン、タブレット、パソコンなどが必要です。
HiBy W4はiPhoneで使えますか?
Bluetooth接続ではiPhoneが対応するAACまたはSBCを利用できます。USB接続の可否や必要なケーブルはiPhoneの端子やOS環境によって異なるため、使用機種に合う接続方法を事前に確認しましょう。
HiBy W4はMagSafeに対応していますか?
別売りの「MagSafe Magnetic Backplate」を装着することで、MagSafe対応iPhoneやケースの背面へ固定できます。W4本体だけではMagSafe固定できない点に注意してください。
3.5mmと4.4mmはどちらがおすすめですか?
手持ちのイヤホンが3.5mmなら、そのまま3.5mm出力を使えば問題ありません。4.4mmバランス対応ケーブルを持っていて、より高い出力が必要な場合は4.4mmが候補です。端子形状だけで音質が必ず良くなるわけではないため、無理にケーブルを買い替える必要はありません。
BluetoothとUSBではどちらが高音質ですか?
一般的にはUSB接続のほうが音声データを高品位に伝送しやすく、音質を優先する人に向いています。一方、Bluetoothはスマホとの接続ケーブルが不要で、移動中の使いやすさに優れています。
HiBy W4で通話できますか?
Bluetoothモードではマイク入力とcVc通話ノイズリダクションに対応しています。ただし、マイク入力とリモート操作に対応するのは3.5mm接続時のみで、4.4mmバランス接続では利用できません。
まとめ:HiBy W4はスマホをDAPのように使いたい人におすすめ
HiBy W4は、見た目や操作感こそ小型DAPに近いものの、本体だけで音楽を再生するDAPではありません。スマホやパソコンからBluetoothまたはUSBで音声を受け取り、有線イヤホンへ高音質で出力するポータブルDACアンプです。
その一方で、デュアルCS43198 DAC、3.5mm・4.4mmの2系統出力、最大475mWのバランス出力、2インチのカラータッチスクリーンなど、約2万円のポータブル機器として充実した機能を備えています。別売りのMagSafe Magnetic Backplateを使えば、スマホ背面へ固定してDAPのような一体感のあるスタイルでも楽しめます。
HiBy W4が向いているのは、専用DAPを追加で持ち歩くのではなく、使い慣れたスマホを中心に高音質な有線イヤホン環境を作りたい人です。単体再生や長時間駆動を重視するならDAP、コンパクトさと接続の自由度を重視するならHiBy W4を選ぶとよいでしょう。
HiBy W4の評価
単体DAPではありませんが、スマホを便利な高音質プレーヤーへ変える機器として完成度の高い1台です。Bluetoothの身軽さとUSB DACの音質を、利用シーンに合わせて使い分けたい人に適しています。