beyerdynamicの密閉型ヘッドホンの「DT 270 PRO」と「DT 770 PRO」。名前はよく似ていますが、実際には想定している使い方が全く異なります。
DT 270 PROは、軽さと接続のしやすさを重視した新しいコンパクトモデル。一方のDT 770 PROは、世界中のスタジオで長く使われてきた定番のモニターヘッドホンです。
そのため、数字が大きいDT 770 PROを選べば必ず満足できる、という単純な関係ではありません。スマートフォンやノートパソコンでも気軽に使いたい人と、オーディオインターフェースにつないで本格的に録音したい人とでは、適したモデルが変わります。
この記事では、DT 270 PROとDT 770 PROの違いを、音質・装着感・携帯性・ケーブル・インピーダンス・用途の面から比較します。どちらを買えばよいか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
<この記事の結論>
- 軽さ、持ち運び、スマホとの接続しやすさを優先するなら、DT 270 PROがおすすめ。
- 広めのイヤーカップ、細かな音の確認、頑丈さ、長期的な補修性を重視するなら、DT 770 PROがおすすめ。
- 1 DT 270 PROとDT 770 PROの違いを比較
- 2 違い1:音質はバランス型と分析型で方向性が異なる
- 3 違い2:DT 270 PROは76g軽く持ち運びやすい
- 4 違い3:装着感は軽さとイヤーカップの広さで選ぶ
- 5 違い4:DT 270 PROはケーブルを取り外せる
- 6 違い5:DT 270 PROは45Ωの1種類、DT 770 PROは3種類
- 7 違い6:耐久性と補修実績ではDT 770 PROが有利
- 8 DT 270 PROがおすすめな人
- 9 DT 770 PROがおすすめな人
- 10 用途別ではどっちがおすすめ?
- 11 購入前に確認したい注意点
- 12 DT 270 PROとDT 770 PROに関するよくある質問
- 13 まとめ:携帯性ならDT 270 PRO、定番の信頼性ならDT 770 PRO
DT 270 PROとDT 770 PROの違いを比較
まずは、両モデルの主な仕様と特徴を一覧で比較します。
| 比較項目 | DT 270 PRO | DT 770 PRO |
|---|---|---|
| 構造 | 密閉型・オーバーイヤー | 密閉型・オーバーイヤー |
| 主な用途 | 自宅制作、モバイル録音、ポッドキャスト、楽器練習 | スタジオ録音、モニタリング、DTM、据え置き使用 |
| インピーダンス | 45Ω | 32Ω、80Ω、250Ω |
| 重量 | 194g | 270g |
| 周波数特性 | 5~24,000Hz | 5~35,000Hz |
| 音圧レベル | 96dB | 96dB |
| ケーブル | 着脱式カールケーブル、左右どちらにも接続可能 | 本体固定式、仕様はインピーダンスにより異なる |
| USB-C接続 | 変換アダプター付属 | 別途アダプターなどが必要 |
| イヤーパッド | ベロア、交換可能 | 32Ωは合成皮革、80Ω・250Ωはベロア、交換可能 |
| 携帯性 | 高い | 据え置き向き |
大きな違いは、DT 270 PROが場所を選ばず使える現代的なモデルで、DT 770 PROがスタジオで使い続けることを重視した定番モデルである点です。
違い1:音質はバランス型と分析型で方向性が異なる
DT 270 PROは聴きやすさとバランスを重視
メーカーはDT 270 PROについて、クリアな高域、しっかりした中域、濁りの少ない低域を備えたバランスのよいサウンドと説明しています。45Ωで鳴らしやすく、スマートフォンやノートパソコンでも使いやすいことが特徴です。
DT 770 PROと比べると、中域がつながって聴こえやすく、ボーカルや会話音声を確認しやすい傾向があります。高域もDT 770 PROほど鋭さを感じにくいため、長時間のリスニングで刺激の強い音が苦手な人にはDT 270 PROが合わせやすいでしょう。
ただし、音の感じ方は耳の形や装着状態、再生機器によって変わります。また、DT 270 PROを完全なフラット音質と断定するのは避けたほうがよいでしょう。中低域に厚みがあり、楽しく聴ける方向の味付けを指摘する声もあります。
DT 770 PROは低域と細部を確認しやすい
DT 770 PROは、深い低域と細かな音を捉えやすい、分析的なサウンドが特徴です。録音時のノイズ、演奏の細かなニュアンス、低音の伸びなどを確認しやすく、長年スタジオで使われてきた実績があります。
一方で、DT 770 PROは高域の存在感が強いと感じる人もいます。シンバルや歯擦音が明瞭に聞こえる反面、音源や音量によっては高音が刺さるように感じる可能性があります。
音楽を心地よく楽しみながら動画編集や簡単な制作にも使うならDT 270 PRO、録音した音を細かく確認する道具として使うならDT 770 PROが有力です。
違い2:DT 270 PROは76g軽く持ち運びやすい
DT 270 PROの重量はケーブルを除いて194g、DT 770 PROは270gです。差は76gあり、数字以上に装着時や持ち運びで違いを感じやすい部分です。
DT 270 PROはイヤーカップを回転させて平らに近い状態で収納できます。自宅の机だけでなく、学校、スタジオ、コワーキングスペースなどへ持ち出す人に向いています。
DT 770 PROはDT 270 PROより大きく、折りたたみ式ではありません。その代わり、頑丈なスプリングスチール製ヘッドバンドや交換可能なパーツを採用しており、据え置きで長く使う道具として安心感があります。
毎日バッグに入れて持ち歩くならDT 270 PRO、決まった机やスタジオで使うならDT 770 PROという選び方がわかりやすいでしょう。
違い3:装着感は軽さとイヤーカップの広さで選ぶ
両モデルとも、やわらかなパッド付きヘッドバンドを採用しています。DT 270 PROにはベロア製イヤーパッドが使われており、194gという軽さも長時間使用の負担を減らす要素です。
ただし、DT 270 PROはコンパクトな設計のため、耳を入れる部分もDT 770 PROより小さめです。耳の大きい人は、耳の一部がパッドやカップ内部に触れる可能性があります。軽さだけで装着感が決まるわけではない点に注意してください。
DT 770 PROは270gありますが、イヤーカップが大きく、耳の周囲を包みやすい作りです。特に80Ωと250Ωモデルはベロア製イヤーパッドを採用しており、据え置きで長時間使いたい人に適しています。
なお、DT 770 PROの32Ωモデルは黒い合成皮革のイヤーパッド、80Ωと250Ωモデルはシルバーのベロア製イヤーパッドです。見た目だけでなく、肌触りや遮音性にも関係するため、購入時はインピーダンスと一緒に確認しましょう。
違い4:DT 270 PROはケーブルを取り外せる
使い勝手に直結する大きな違いがケーブルです。
DT 270 PROは着脱式のカールケーブルを採用し、左右どちらのイヤーカップにも接続できます。机の配置や利き手に合わせてケーブルの位置を変えられるうえ、断線した場合にケーブルだけを交換しやすいことも利点です。
さらに、3.5mm端子に加えてUSB-C変換アダプターが付属します。USB-Cから音声を出力できるスマートフォン、タブレット、ノートパソコンなら、別売りアダプターを用意せずに使い始められます。
DT 770 PROのケーブルは本体固定式です。固定ケーブルは接続部が外れにくい反面、持ち運び時にかさばりやすく、断線時の交換もDT 270 PROほど手軽ではありません。
スマートフォンと一緒に持ち歩く場合は、短いケーブルの32Ωでも取り回しを確認しておきましょう。
違い5:DT 270 PROは45Ωの1種類、DT 770 PROは3種類
DT 270 PROは45Ωの1モデルだけなので、インピーダンス選びで迷う必要がありません。低出力のモバイル機器からオーディオインターフェースまで、幅広い機器と組み合わせやすい設計です。
DT 770 PROには32Ω、80Ω、250Ωがあります。見た目は似ていますが、接続する機器やケーブル、イヤーパッドが異なるため、用途を決めずに選ぶと使いにくくなる可能性があります。
DT 770 PROの32Ω・80Ω・250Ωはどれがいい?
| モデル | 向いている機器 | ケーブル | イヤーパッド |
|---|---|---|---|
| 32Ω | スマホ、タブレット、ノートPC、携帯プレーヤー | 1.6mストレート | 合成皮革 |
| 80Ω | PC、一般的なオーディオインターフェース、電子楽器 | 3mストレート | ベロア |
| 250Ω | ヘッドホンアンプ、スタジオ機器、出力に余裕のあるオーディオIF | 3mカール | ベロア |
迷った場合は、オーディオインターフェースを使うなら80Ω、スマートフォンやノートPCへ直接つなぐなら32Ωが無難です。250Ωは再生機器のヘッドホン出力が弱いと、十分な音量や本来の鳴り方を得にくい場合があります。
なお、インピーダンスが高いほど無条件に音質がよいわけではありません。大切なのは、再生機器の出力とヘッドホンを適切に組み合わせることです。
違い6:耐久性と補修実績ではDT 770 PROが有利
DT 270 PROも、イヤーパッド、ケーブル、ヘッドバンドクッションを交換できるモジュール構造です。着脱式ケーブルを採用しているため、日常的に起こりやすいケーブルのトラブルへ対応しやすい点は魅力です。
一方、DT 770 PROは長年販売されてきた定番モデルで、イヤーパッド、ヘッドバンド、ケーブル、ドライバーユニット、ハウジングなど幅広い交換部品が用意されています。ドイツでハンドメイドされ、修理しながら長く使うことを重視した設計です。
新しい使い勝手ではDT 270 PROが優れていますが、交換部品の入手実績と業務用機材としての長期運用ではDT 770 PROに強みがあります。
DT 270 PROがおすすめな人
- 軽い密閉型ヘッドホンが欲しい人
- スマートフォン、タブレット、ノートPCで使いたい人
- 自宅と外出先の両方で音楽制作をする人
- ポッドキャストや動画編集に使いたい人
- ケーブルを取り外して持ち運びたい人
- 高域の鋭い音が苦手な人
- インピーダンス選びで迷いたくない人
DT 270 PROの最大の魅力は、スタジオ向けヘッドホンの音と機能を194gのコンパクトな本体へまとめたことです。USB-C変換アダプターまで付属するため、オーディオ機器に詳しくない人でも導入しやすくなっています。
「本格的なモニターヘッドホンが欲しいけれど、重くて長い固定ケーブルの製品は避けたい」という人には、DT 270 PROが選びやすいでしょう。
DT 770 PROがおすすめな人
- 録音やモニタリングで細かな音を確認したい人
- 自宅スタジオや制作机で据え置き使用する人
- 耳を包みやすい大きめのイヤーカップを求める人
- 頑丈さと修理のしやすさを重視する人
- 使用機器に合わせてインピーダンスを選べる人
- 深い低域と明瞭な高域が好みに合う人
- 長年使われてきた定番モデルを選びたい人
DT 770 PROは、新しさや携帯性よりも、録音現場で求められる音の確認しやすさと信頼性を重視したモデルです。固定ケーブルや270gの本体は持ち歩きには不利ですが、決まった環境で長く使うなら大きな欠点にはなりにくいでしょう。
初めてDT 770 PROを買う人には、幅広いオーディオインターフェースと組み合わせやすく、ベロア製イヤーパッドを採用する80Ωが有力です。ただし、スマートフォンへの直挿しが中心なら32Ωを選ぶか、最初から45ΩのDT 270 PROを検討するほうが使いやすい場合があります。
用途別ではどっちがおすすめ?
スマホやタブレットで聴くならDT 270 PRO
スマートフォンやタブレットへ接続するなら、45ΩでUSB-C変換アダプターが付属するDT 270 PROが便利です。DT 770 PROの32Ωもモバイル機器向けですが、USB-C端子しかない機器では別途アダプターが必要です。
DTM初心者なら使う場所で選ぶ
ノートPCを持ち出して複数の場所で制作するならDT 270 PRO、自宅のオーディオインターフェースへ常時接続するならDT 770 PROの80Ωがおすすめです。
DT 270 PROは軽くて扱いやすく、DT 770 PROは音の細部や低域を確認しやすいという違いがあります。初心者だから必ず安価で手軽なモデルを選ぶのではなく、自分の制作環境に合うほうを選びましょう。
ボーカルや楽器の録音ならDT 770 PRO
決まったスタジオでボーカルや楽器を録音するなら、遮音性と頑丈さに実績のあるDT 770 PROが使いやすいでしょう。大きめのイヤーカップで耳を包みやすく、長時間のセッションにも向いています。
一方、出張収録、学校での練習、移動を伴う楽器演奏などでは、軽量なDT 270 PROが便利です。録音品質だけでなく、機材全体の持ち運びやすさも考えて選んでください。
ゲームなら好みと接続環境で選ぶ
ゲーム用途では、軽さを優先するならDT 270 PRO、低音の迫力や細かな環境音を重視するならDT 770 PROが候補です。DT 770 PROをゲーム機やコントローラーへ直接接続する場合は、鳴らしやすい32Ωが向いています。
ただし、どちらにもマイクはありません。ボイスチャットを利用する場合は、USBマイクや別売りのマイクを用意する必要があります。
音楽鑑賞なら試聴して音の好みで決める
音楽鑑賞では、ボーカルや中域のまとまり、刺激の少ない聴きやすさを重視するならDT 270 PRO。深い低音、明るい高音、細かな音の見通しを楽しみたいならDT 770 PROが合いやすいでしょう。
ただし、DT 770 PROの高域は好みが分かれます。高音に敏感な人は、普段よく聴く曲で試聴するのが安心です。
購入前に確認したい注意点
どちらもワイヤレスヘッドホンではない
DT 270 PROとDT 770 PROは、どちらも有線のスタジオヘッドホンです。Bluetooth接続、アクティブノイズキャンセリング、外音取り込みには対応していません。
電車や飛行機でノイズキャンセリングを使いたい人より、遅延や充電切れを気にせず、録音や制作に集中したい人へ向いています。
密閉型でも音漏れが完全になくなるわけではない
密閉型は開放型より音漏れを抑えやすいものの、大音量では周囲に音が聞こえる場合があります。静かな場所やボーカル録音で使う場合は、必要以上に音量を上げないことが大切です。
周波数特性の広さだけで音質は決まらない
スペック上は、DT 270 PROが5~24,000Hz、DT 770 PROが5~35,000Hzです。しかし、上限の数字が大きいほど誰にとっても高音質になるわけではありません。
実際の聴こえ方には、周波数ごとの音量バランス、歪み、イヤーパッドによる密閉度、耳の形、再生機器などが影響します。スペック表は選択材料の一つとして使い、用途と音の好みを優先しましょう。
DT 270 PROとDT 770 PROに関するよくある質問
DT 270 PROはスマホに直接つなげる?
接続できます。DT 270 PROは45Ωで、メーカーもスマートフォンを含む幅広い機器での使用を想定しています。3.5mm端子に加え、USB-C変換アダプターも付属します。ただし、端末によってはUSB-C音声出力の対応状況が異なるため、購入前に確認してください。
DT 770 PROの250Ωはスマホで使える?
音が出る場合はありますが、十分な音量や性能を得にくい可能性があります。250Ωは、ヘッドホンアンプや出力に余裕のあるスタジオ機器向けです。スマートフォン中心なら32Ω、または45ΩのDT 270 PROが選びやすいでしょう。
DT 770 PROは80Ωと250Ωのどちらがおすすめ?
一般的なホームスタジオやDTM用途では80Ωが無難です。250Ωは、使用中のオーディオインターフェースやヘッドホンアンプが高インピーダンスのヘッドホンを十分に駆動できると確認できた場合に選びましょう。
イヤーパッドやケーブルは交換できる?
どちらもイヤーパッドを交換できます。DT 270 PROはケーブル自体が着脱式なので、ユーザーが簡単に交換可能です。DT 770 PROにも交換用ケーブルや各種パーツがありますが、ケーブルは本体固定式のため、交換作業の難易度は高くなります。
ミキシングにも使える?
どちらも音の確認には使えますが、密閉型特有の音の響きがあります。最終的なミックス判断は、スタジオモニタースピーカーや開放型ヘッドホン、別の再生環境でも確認すると安心です。DT 270 PROとDT 770 PROのどちらを選んでも、一つのヘッドホンだけで仕上げを完結させないことが重要です。
まとめ:携帯性ならDT 270 PRO、定番の信頼性ならDT 770 PRO
DT 270 PROとDT 770 PROは、どちらも録音やモニタリングに使えるbeyerdynamicの密閉型ヘッドホンです。ただし、向いているユーザーと使用環境は異なります。
DT 270 PROは194gと軽く、45Ωで鳴らしやすく、着脱式ケーブルとUSB-C変換アダプターを備えています。スマートフォンやノートPCで使う人、複数の場所へ持ち運ぶ人、難しい機種選びをせずに使い始めたい人へおすすめです。
DT 770 PROは270gで本体固定式ケーブルですが、大きめのイヤーカップ、細かな音の確認しやすさ、頑丈な構造、豊富な交換部品という強みがあります。ホームスタジオや録音環境に据え置き、長く使いたい人に適しています。
- 手軽さ、軽さ、持ち運びやすさなら「DT 270 PRO」
- 音の分析、装着空間、耐久性、長期使用なら「DT 770 PRO」