オーディオテクニカから、かなりユニークなワイヤレスヘッドホン「ATH-AL5NC」が登場しました。
最大の特徴は、開放型(オープンエアー型)でありながらノイズキャンセリングを搭載していること。
一般的にノイキャンヘッドホンといえば、イヤーパッドで耳を覆って外部の音を遮断する「密閉型」が主流です。
一方のATH-AL5NCは、開放型ならではの自然な音の広がりや蒸れにくさを残しながら、エアコンや乗り物などの不要な騒音をANCで低減するという、これまでとは少し違った方向性のヘッドホンになっています。
そこで気になるのが、
「開放型なら音漏れするのでは?」
「ノイキャンは本当に効く?」
「肝心の音質はどう?」
という部分でしょう。
この記事では、ATH-AL5NCの音漏れ・ノイキャン・音質を中心に、スペックやメリット・注意点まで詳しく解説します。
ATH-AL5NCとは?開放型×ノイキャンという珍しいヘッドホン
ATH-AL5NCは、オーディオテクニカが2026年9月18日に発売するオープンエアーダイナミック型のワイヤレスヘッドホンです。
最大のポイントは、やはり「開放型アクティブノイズキャンセリング」というコンセプト。
密閉型ヘッドホンのように耳を物理的に塞いで静かな環境を作るのではなく、外部の音が自然に聞こえる開放型の特徴を残しながら、低~中音域を中心とした不要な騒音をANCで抑える仕組みです。
そのため、完全な静寂を求める従来型ノイキャンヘッドホンとは、そもそもの方向性が少し異なります。
「外部とのつながりを残しながら、うるさい環境音だけ少し減らしたい」という使い方に向いたヘッドホンと考えると分かりやすいでしょう。
ATH-AL5NCの主なスペック
| 型式 | オープンエアーダイナミック型 |
|---|---|
| ドライバー | φ53mm |
| 再生周波数帯域 | 20~40,000Hz |
| Bluetooth | Bluetooth 5.3 |
| 対応コーデック | LDAC / AAC / SBC |
| ノイズキャンセリング | 対応 |
| バッテリー | ANC ON:約50時間 ANC OFF:約75時間 |
| 充電時間 | 約3.5時間 |
| 重量 | 約240g |
| 有線接続 | 対応 |
| 発売日 | 2026年9月18日 |
ワイヤレスヘッドホンとして注目したいのが、約240gという軽さです。
さらにANCオンでも最大約50時間、オフなら最大約75時間使用できるため、仕事や自宅で毎日長時間使用する人にも扱いやすい仕様となっています。
ATH-AL5NCは音漏れする?
ATH-AL5NCについて購入前に最も気になるのは、音質よりもむしろ「音漏れ」かもしれません。
結論からいうと、ATH-AL5NCは開放型なので、音漏れを完全になくすことはできません。
一般的な開放型ヘッドホンは、ドライバーの背面を密閉していません。そのため自然で広がりのある音を作りやすい反面、再生している音が外にも漏れやすくなります。
ATH-AL5NCも基本的には同じです。
「音漏れ抑制モード」を搭載
ただしATH-AL5NCには、普通の開放型ヘッドホンにはない「音漏れ抑制モード」が搭載されています。
このモードでは、外部に漏れたときに目立ちやすい、いわゆる「シャカシャカ音」を抑制します。
たとえば、
- 散歩中にコンビニへ入る
- カフェで少し作業する
- 電車や飛行機で使用する
- 周囲に人がいる場所で使用する
といった場面で便利です。
ずっと音漏れ抑制モードをONにしておくというより、必要なときだけ切り替えて使用するイメージです。
音漏れ抑制モードでも完全には防げない
注意したいのは、名前の通り「音漏れ防止」ではなく「音漏れ抑制」だということです。
そのため、図書館や静かなオフィス、満員電車など、絶対に音漏れさせたくない環境では、密閉型ヘッドホンやカナル型イヤホンのほうが安心です。
ATH-AL5NCは「開放型としては周囲に配慮しやすい」という理解が適切でしょう。
音漏れ抑制モードでは音質も少し変化する
もう一つ知っておきたいのが、音漏れ抑制モードを使用すると音の聞こえ方も変化することです。
これは外へ漏れやすい周波数帯域を調整するためです。
そのため自宅など音漏れを気にする必要がない場所では通常モード、カフェなど周囲への配慮が必要な場所では音漏れ抑制モード、と使い分けるのがおすすめです。
ATH-AL5NCのノイキャンはどう?
ATH-AL5NC最大の特徴が、開放型でありながら搭載されたアクティブノイズキャンセリングです。
ただし、ここでも一般的な密閉型ノイキャンヘッドホンと同じ感覚で考えないほうがいいでしょう。
外部の音を完全に遮断するノイキャンではない
ATH-AL5NCのANCは、外部とのつながりを残しながらエアコンや走行音など低~中音域の不要な騒音を低減する方向で設計されています。
つまり、
「周囲の音を聞こえなくするノイキャン」ではなく、「邪魔な騒音を目立ちにくくするノイキャン」
と考えると分かりやすいです。
HomeとAirplaneの2種類を用意
ANCには「Home」と「Airplane」という2種類のモードが用意されています。
Homeは比較的静かな環境で自然に騒音を低減。
Airplaneは飛行機や移動中など、騒音の大きな環境でより強くノイズを抑えることを想定しています。
ヘッドホン本体のボタンから切り替えられるため、スマートフォンを取り出す必要がないのも便利です。
開放型なので周囲の必要な音には気付きやすい
個人的にATH-AL5NCのコンセプトで面白いと感じるのが、一般的なノイキャンヘッドホンとは逆の考え方です。
密閉型ノイキャンでは「いかに外部の音を消すか」が重視されます。
ATH-AL5NCでは、むしろ周囲の音が自然に聞こえる開放型の特徴を残しています。
自宅で家族に呼ばれたときや、仕事中に周囲の状況を把握しておきたい場合など、「完全には外部音を遮断したくない」という人にはメリットがあります。
ATH-AL5NCの音質は?
音漏れやノイキャンも重要ですが、開放型ヘッドホンである以上、やはり期待したいのが音質です。
ATH-AL5NCには新設計の大口径φ53mmドライバーが搭載されています。
オーディオテクニカ公式では、開放型らしい空気感豊かなサウンドを特徴として挙げています。
高域の伸びと低域の量感を両立
PHILE WEBの試聴レビューでは、伸びやかな高域と十分な低域の量感を持ちながら、刺激的になりすぎないサウンドとして評価されています。
開放型というと、
「低音が弱そう」
というイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかしATH-AL5NCは、単に軽く爽やかな音を狙ったモデルではなく、低域についてもしっかりと量感を持たせたチューニングになっているようです。
ボーカル系との相性が良さそう
レビューで特に評価されているのがボーカルです。
女性ボーカルだけでなく男性ボーカルも自然に表現され、J-POPとの相性も良好とされています。
ATH-AL5NCは分析的なモニターヘッドホンというより、普段聴いている音楽を長時間気持ちよく楽しむ方向性が強いモデルと考えられます。
開放型らしい音場の広さにも期待
開放型最大の魅力の一つが、音の広がりです。
密閉型ではハウジング内部に音が閉じ込められるのに対し、開放型ではドライバー背面が開放されているため、スピーカーを聴いているような自然な空間表現を得やすくなります。
ATH-AL5NCも、この開放感のあるサウンドとワイヤレスの利便性を両立しているところがポイントです。
LDAC対応でワイヤレスでも高音質
BluetoothコーデックはSBC、AACに加えてLDACに対応しています。
LDAC使用時は最大96kHz/24bitに対応しており、対応Androidスマートフォンなどと組み合わせることでハイレゾ相当のワイヤレス再生が可能です。
iPhoneではLDACを利用できませんがAACには対応しているため、iPhoneユーザーでも一般的なBluetoothヘッドホンとして問題なく利用できます。
有線でもノイキャンが使える
ATH-AL5NCはBluetoothだけでなく、3.5mmケーブルを使用した有線接続にも対応しています。
さらに特徴的なのが、有線接続時にもノイズキャンセリングを利用できること。
飛行機の機内エンターテインメントやパソコン、オーディオ機器など、Bluetoothを使用したくない場面でもANCを活用できます。
約240gの軽さは長時間使用で大きなメリット
ATH-AL5NCのもう一つの特徴が約240gという軽量設計です。
しかも開放型なのでイヤーカップ内部に熱がこもりにくく、低側圧を意識した設計になっています。
PHILE WEBのレビューでも、2~3時間程度使用しても締め付けや蒸れをほとんど感じなかったと評価されています。
この特徴を考えるとATH-AL5NCは、短時間集中して音楽を聴くというより、
- 在宅ワーク
- PC作業
- 動画視聴
- ゲーム
- 読書中のBGM
- 長時間の音楽鑑賞
といった長時間装着する用途で特に魅力が出てきそうです。
ATH-AL5NCのメリット
ATH-AL5NCの特徴を整理すると、主なメリットは次の通りです。
- 開放型なのにANCを搭載
- 開放型ならではの自然な音場を楽しめる
- 音漏れ抑制モードを搭載
- φ53mmの大口径ドライバー
- LDAC対応
- 約240gと軽量
- 開放型なので蒸れにくい
- ANCオンでも最大約50時間再生
- 有線接続にも対応
- 有線接続でもANCを使用可能
ATH-AL5NCの注意点・デメリット
一方、万人向けというわけではありません。
完全な音漏れ防止はできない
最も重要な注意点です。
音漏れ抑制モードはありますが、構造そのものは開放型です。
音量を大きくすれば周囲には聞こえます。
静かな図書館やオフィス、満員電車などで使用する場合は、音量を控えめにしたほうがいいでしょう。
密閉型のような強力な遮音性を期待しない
ATH-AL5NCのノイキャンは、密閉型ANCヘッドホンのように周囲から隔離された空間を作ることが目的ではありません。
周囲の音を可能な限り消したいのであれば、密閉型ノイキャンヘッドホンのほうが用途に合っています。
音漏れ抑制モードで音が変化する
音漏れ抑制モードでは特定の周波数帯域を調整するため、通常モードとは音の聞こえ方が変わります。
音質を最優先するなら、周囲に人がいない環境では通常モードを使用したほうがよいでしょう。
ATH-AL5NCがおすすめな人
ATH-AL5NCは、特に次のような人と相性が良さそうです。
- 開放型ヘッドホンの音が好き
- ワイヤレスでも開放型を使いたい
- 長時間ヘッドホンを装着する
- 在宅ワークで使いたい
- 密閉型ヘッドホンの蒸れが苦手
- 強すぎるノイキャンが苦手
- 周囲の音にも気付きたい
- J-POPやK-POP、ボーカル曲をよく聴く
- LDAC対応Androidスマホを使っている
ATH-AL5NCがおすすめではない人
逆に、
- 電車内で絶対に音漏れさせたくない
- 周囲の音をできるだけ完全に消したい
- 遮音性を最優先したい
- 爆音で音楽を聴きたい
という人は、一般的な密閉型ANCヘッドホンのほうが向いています。
ATH-AL5NCは「開放型を外へ持ち出したい人」に注目のヘッドホン
ATH-AL5NCの面白さは、単純に「ノイキャン性能が強い」というところではありません。
開放型ヘッドホンが苦手としてきた「騒音」と「音漏れ」に、電子的な機能でアプローチしたことにあります。
開放型ならではの自然な音場、蒸れにくさ、軽快な装着感を維持しながら、ANCでエアコンや走行音などを低減。
さらに周囲への音漏れが気になる場面では、音漏れ抑制モードを使用できます。
もちろん、開放型である以上、音漏れを完全になくすことはできません。
また、密閉型ANCヘッドホンと同レベルの遮音感を期待する製品でもありません。
しかし、それこそがATH-AL5NCの特徴です。
「完全に外の世界を遮断したい」のではなく、「周囲と自然につながりながら、いい音で快適に長時間聴きたい」。
そんな人にとって、ATH-AL5NCは従来の密閉型ワイヤレスヘッドホンとは違った、新しい選択肢になりそうです。